天穂日命考―古代東国と出雲系―
渡邉正人
上代文学会7月例会
上代文学会
日本大学法学部
天穂日命は、アマテラスとスサノヲの誓約の場面で御統の瓊から生まれ、後に天孫降臨の際に葦原中国に下るが大己貴神に媚びて三年間復命しなかった。記紀神話の中では、反天津神といった立場の神であるが、後の時代には記紀の内容に準じてはいるものの、良い面が強調され、天神の命に従わなかったという負の側面は語られない。 一方、古代東国では、この国譲りの武甕槌神・経津主神といった神が鹿島・香取に祀られ、蝦夷対策の呪