本研究は、科学革命の潮流と宗教改革の潮流が交差した初期近代ドイツ語圏の思想運動「宗教的パラケルスス主義」を扱う。パラケルススは近代医学と科学思想に多大な影響を与えた16世紀の医学改革者である。彼とその支持者(パラケルスス主義者)たちの医学改革運動は「医学的パラケルスス主義」と呼ばれるが、それが16世紀末、宗教的な社会運動へと変容していった。
本研究は「宗教的パラケルスス主義」と呼ばれるこの運動の成立と初期の発展段階に焦点を当て、その変容過程と独自の宗教思想(終末論的な自然神学)を解明する。「科学」と「宗