スポーツ動作は非常に複雑な運動で、筋単体の活動ではなく複数の筋の協調活動によって行われる。この協調活動はスポーツ現場では"Motor Control"として表現されるが、神経科学などの分野では"シナジー"と呼ばれ、歩行や走行といったロコモーションや目の前の物を取るリーチングタスクといった実際の運動を対象にシナジー解析を行うことで、筋の協調活動が明らかにされている。シナジー解析によって筋の協調活動を可視化できることから、スポーツ現場に応用することで競技復帰に向けたリハビリテーションや障害の予防、さらにはパフォーマンス向上にも有益な情報をもたらすことが期待される。そこで本稿ではシナジーの概念とその解析方法について述べ、スポーツへの応用例として我々が得たデータを紹介する。(著者抄録)