近年、研究目的で作成されていない会議録のような資料をネットワーク・データとして利用することが注目されている。本稿は集団・組織によって作成されている「会合記録」に着目し、「会合記録」からアフィリエーション・ネットワーク・データを生成する際の実践的な方法を検討した。「記録」には解決すべき問題として、記録者や転記者の文字の記載ミスから生まれる「記載のばらつき」と「同姓同名問題」がある。これらに対し、氏名が1字以内で異なる個々人について、その属性情報を比較しそれが一致すれば同一人物とみなす同定処理手法をここでは用いる。この手法を基礎にして、「会合記録」に含まれる情報(氏名情報、会合情報、ゲスト情報、日時情報)のみによってアフィリエーション・ネットワーク・データを生成する方法を検討する。この方法によって、約半数の紐帯を見逃す危険性がなくなること、また個々人の誤った同一人物判定がゼロであったことが示され、精度の高いアフィリエーション・ネットワーク・データを生成できた。会合記録から生成されるアフィリエーション・ネットワーク・データは個々人の会合への参加という行為を表現したものとなる。