子どものコトバとからだの感受性 ―アンリ・ワロンの「エミール序文」より
寺﨑恵子
ワロンはルソーの消極教育論を発生論に読み解いた。ルソーが「最初の人間関係」とした「抱っこ」について、ワロンは母子間の共生(symbiose)と体感(cénesthésie)の概念から考察して、一体的なふれあいの情動的コミュニケーションを把握した。ルソーが乳児のコトバの発生を五感以前の情動的感覚に捉えた自然言語論を、ワロンは身体の感受性に息づく生のアート(l’art brut)と読み解いた。
聖学院大学総合研究所紀要
聖学院大学総合研究所
第70号