在宅老人の全国代表サンプル1,510名のデータを用いて、幸福な老い(サクセスフル・エイジング)の指標である主観的幸福感の要因分析を行った。主観的幸福感の測定には生活満足度尺度Kを用い、分析は共分散構造モデルにより行った。分析の結果、生活満足度に対する有意な直接効果が認められた変数は、健康度、収入、同居既婚子の有無の3つのみであって、機能的健康度が良好な者、夫婦の年収が多い者、既婚子と同居している者で生活満足度が高かった。人間関係の豊かさが生活満足度に対する有意な影響をもたず、生活満足度の分散のうち関連要因によって説明される部分の比率が小さかったことから、社会的環境条件の指標の開発が急務であることが示唆された。