児童虐待「急増」は本当か
中谷茂一
毎年、全国の児童相談所で対応した前年度の「児童虐待相談対応件数」が発表されると各種メディアで「虐待急増」「過去最多」などの見出しが躍る。2016 年度は122575 件(前年度比18.7%増加)で統計をとりはじめてから増加の一途をたどっている。以前はこの数字が日本の家族や親子関係が劣化した証左という文脈で紹介されることも多かったが、近年は厚生労働省の発表資料にも関係機関の対応の変化や国民の意識の高まりで通告が増えたことが背景にあることが記述されるようになってきている。しかし、いまだ親の育児能力の低下として
埼玉新聞
2018年3月20日朝刊 経済面