古英語版『オロシウス』における主節の動詞語順の考察
小林茂之
古英語は他のゲルマン諸語と同様に基本的にV2言語である。古英語の主節の典 型的な語順はV2語順に従っている方で,動詞文末語順などの例外的語順が,特に初期の古英語散文に少なからずみられる。どの程度占英語散文の動詞語順がラテン語に影響されたかという問題には,議論の余地がある。一つの仮説は,9世紀に アルフレッド王のサークルによってラテン文献の英語への翻訳事業が行われた ために,そのような語順はラテン語
聖学院大学総合研究所紀要
聖学院大学総合研究所
64