J.-J. ルソーにおけるスペクタクルと教育 -『ダランベール氏への手紙』を中心に -
寺﨑恵子
ルソーの演劇批判論『ダランベール氏への手紙』(1758年)は、「演劇は学校である」という古来の表現をめぐる演劇・教育論である。彼は、演劇と祭りとの二種のスペクタクルがもつ特質について、劇的空間における観衆の様態の関係構造を対比的に把握して考察した。スペクタクルの内実から、他者との参加交流・相互行為における人間形成力をもつ公然の教育(instruction publique)の可能性が開かれることが明白になった。
お茶の水女子大学