この論文は、アイデンティティの内部的な非対称性とポジティブ・アイデンティティ構築という分析レンズを採用することにより、日本の中小企業における組織メンバー間の複数の多様性属性の相互作用を探った。組織は個人のアイデンティティの主要なソースであることは知られているが、近年組織の多様性進展への要求が強まるなか、組織メンバーが組織だけでなく、民族、性別、職業、雇用形態などさまざまなアイデンティティを持つことが認識されつつある。既存の文献は、複数のアイデンティティを管理する難しさに焦点を当てる傾向があるが、このペーパーでは、ポジティブ性を通じて、多様な組織メンバーが包摂に至る可能性を明らかにした。