本研究は、韓国人元留学生社員が日本で働く意味、現在の職場の状況をどのように捉え、また職場における元留学生としての自分をどのような存在と認識しているのかを検討することを目的としている。日本の大学・大学院を卒業し、日本で就職した韓国人元留学生社員10名を対象に半構造化インタビュー調査を実施し、カテゴリー分類を行った。その結果、韓国人元留学生社員は、日本や現在の職場で働くことに関しては、全体的に肯定的な意味を見出していることが明らかになった。一方で、職場における元留学生としての存在意義に関しては、その意義を見出せるケースと見出せないケースがあることが示された。その際、職場の上司や同僚との直接的なコミュニケーションによる評価の有無が存在意義の認識に影響を与える可能性が確認された。以上のことから、韓国人元留学生社員のいる職場においては、コミュニティ感覚を得られる環境づくりへの重要性が示唆された。