菅原道真を通して見た九世紀漢詩文と源氏物語─文学における太上天皇の思想─(博士論文)
木下綾子
菅原道真や宇多太上天皇,醍醐天皇に見える文章経国思想が『源氏物語』における文治主義の規範となっていること,文章経国思想の推進者である宇多太上天皇と醍醐天皇の院政的な父子関係が『源氏物語』藤裏葉巻,六条院行幸における「太上天皇になずらふ」光源氏と冷泉帝の父子関係に象徴化されていることを論じ,9世紀から11世紀初頭に至る文学史・思想史の流れを探った。
博士(文学)(明治大学文第112号,文部科学省甲第528号)