「無料貸本屋論」の台頭に見られるように,昨今の公共図書館サービスは外部から批判の声を浴びつつある。今後は,それら批判の妥当性や原因を明らかとするためにも,外部環境を探る調査の重要性が増している。にもかかわらず,既存の公共図書館調査・研究は内部環境調整を目的としたものが大半を占めてきた。本論の目的は,文献レビューを介し,外部環境適応の視座を公共図書館調査・研究へ導入することの必要性について示すことにある。まず,レビューを進める上での枠組みとして,図書館調査・研究を視点の差異により4つに類型化する。次いで,日本図書館情報学会における学会発表テーマを各々4類型に当てはめていく作業を行う。結果,内部環境調整型テーマへの偏重傾向,外部環境適応の視点の相対的軽視,特に今現在問題とすべき代替業者を対象とした調査研究の欠落を立証した。