「自然法における摂理・理性・裁きーアーレントの「悪の陳腐さ」を巡る正義論の現実性(第一部)」
今出敏彦
アイヒマン裁判傍聴のレポートから,アーレントは『悪の陳腐さ』の概念を提出した。そこから,ユダヤ人評議会による「ユダヤ民族の暗部」を告発したが,その結果として彼女はユダヤ人達から非難された。問題はアーレントの「真実を語る」という行為は,彼女自身の思考と一致するかということである。そこで,本論ではアーレントの『人間の条件』の再考を通じて,彼女の哲学的思索の布置を自然法に基づく理論的枠組みへと転換する。
基督教学研究
京都大学基督教学会
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